土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

平成28年度決算特別委員会(第4日目) 本文 開催日:2017.09.26

◯委員(土屋 準君)  環境清掃費におきましては、初めに、エコロジカルネットワークについてお伺いいたします。
 芝浦にお住まいの方から、近くにカワセミを生息させられないかという相談を受けました。芝浦の近辺では、浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園で、たまにカワセミの姿を確認できますが、張りめぐらされた運河を有する芝浦においては、その姿が確認できることはほとんどないようです。カワセミの性格は少し臆病なこともあり、水の透明度、餌となる小魚の生息状況、通行する船の状況等が複合している結果ではないかということです。しかし、例えば芝浦アイランドのカルガモプロジェクトを参考に、運河の中ほどに、航行の邪魔をせず、かつ人の近づけないような安全なとまり木を設け、さらに餌場を確保すれば、毎年、近隣の各地で育つ鳥がここに縄張りを設け、定住してくれる可能性があるのではないかと言われております。
 カワセミは、鮮やかな色合いで、かつ、よく通る鳴き声がすてきな、非常に魅力に満ちあふれた小鳥です。身近な芝浦運河に、このカラフルな小鳥が生息する状況を仮につくれたのなら、小さなお子さんからお年寄りに至るまで、芝浦地区に対する郷土愛と誇りがより一層育まれていくのではないかと、この方は期待しております。直接カワセミを芝浦に生息させることは可能かどうかわかりませんけれども、近辺に生息地があれば、それをつなぐ方策を講じて生物が移動しやすいようにすることで、生き物を呼び込むということはできるのではないかと思います。
 港区では、平成25年度に港区生物多様性地域戦略を策定し、戦略目標の一つである、自然や生き物と共存できるまちづくりを実現するため、緑化計画諸制度を活用して、公共・民間施設の建設時の緑化誘導の指針として、昨年、生物多様性緑化ガイドを作成しております。この生物多様性緑化ガイドを見ると、港区にはエコロジカルネットワークを形成するという施策があるようですけれども、まず、このエコロジカルネットワークとはどのようなものかお伺いいたします。

◯環境課長(湯川康生君)  エコロジカルネットワークとは、都市の中でも生き物が移動しやすく、かつ暮らしやすいように、生息地がつながれた状態を言います。港区内では、赤坂御所や自然教育園など、多くの生き物の生息拠点となっている大規模な公園緑地を、点在する公園や小さな緑地、線上につながる街路樹などの緑や水辺を増やしてつなげることによって、エコロジカルネットワークが形成され、生き物が移動しやすくなり、生息範囲が広がってまいります。

◯委員(土屋 準君)  エコロジカルネットワークという言葉はほかでは余り聞きませんので、港区は先進的に取り組んでいるのではないかと思います。エコロジカルネットワークについて、区はこれまでどのように取り組んできたかをお伺いいたします。

◯環境課長(湯川康生君)  区は、平成28年1月に生物多様性緑化ガイドを策定し、その中でエコロジカルネットワークの将来像を示し、大規模な敷地の建築に伴う緑化計画書制度において、エコロジカルネットワーク形成を視野に、生き物の生息に配慮した植栽の誘導を図っております。具体的には、建築に伴い、緑化計画書を提出していただいておりますけれども、その際に、どのように生き物に配慮した植栽を計画しているかを示す生物多様性チェックリストの添付を義務づけております。チェックリストでは、緑化によって誘致する鳥やチョウなどの生き物の目標種を定め、そうした鳥などが好む実をつける樹種などを設定していただいております。こうした取り組みによって、野鳥やチョウなど生き物に配慮した緑化の推進を積極的に誘導しております。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。港区というと、一般的には、高層ビルばかりの地域というイメージがありますけれども、芝公園や旧芝離宮恩賜庭園、あるいは有栖川宮記念公園や自然教育園、赤坂御用地や青山霊園と、各地に緑地が存在しておりますし、また古川や運河などの水辺空間も存在しております。また、隣接区に目を向ければ、皇居や浜離宮恩賜庭園、代々木公園や目黒区の林試の森公園などの緑地も存在しております。こうした地を、小規模な緑地や街路樹などの緑でつなぎ、まちの中でも生き物が比較的移動がしやすいようにすることで、都心における貴重なネットワークが形成できるのではないかと思っております。それには、事業者や区民と連携した取り組みが必要となると思います。そこで、事業者や区民と連携した取り組みをどのように進めていくか、お伺いいたします。

◯環境課長(湯川康生君)  区内で生物多様性に関する活動を行っている事業者や区民等の相互の情報交換・情報共有及び連携・協働を目的とし、生物多様性みなとネットワークを平成28年4月に組織し、現在の会員数は20となっております。少し活動を紹介させていただきますと、会員の中には、自社の敷地内に野鳥のコゲラを呼び込む緑地環境を整備したり、渡りをするアサギマダラというチョウを呼ぶ植栽活動を行っている事業者などがあり、区民も参加できる観察会なども実施していただいております。また、今年度はネットワークの会員合同の自主的な活動で、トンボが住める水辺を現地調査し、地図上に落とし込み、まさに今後のエコロジカルネットワークの形成に役立てようという活動を始めており、区として積極的に支援しております。区内には、このように多種多様な事業主体がさまざまな活動を積極的に行っておりますので、そうした事業者や区民との連携をさらに強めながら、区民が身近な場所で生物多様性に触れられる環境を増やし、ご理解を得ながら、エコロジカルネットワークの形成に向けて取り組んでまいります。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。期待できる見解だと思いますので、ぜひこれからも進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、集合住宅の省エネ助成についてお伺いいたします。港区の家庭部門における二酸化炭素排出量の推移を見ますと、2001年には29万トンでしたけれども、翌年には30万トン、2007年には40万トンを超え、近年は50万トン台となっており、多少の増減はあるものの、この数年間で年々上昇傾向にあります。家庭部門が占める割合も2014年度はおよそ12%で、この率もここ数年間で年々上昇傾向にあり、家庭での省エネ対策をより積極的に進める必要があります。港区では、集合住宅に住む方が約9割いらっしゃいます。特に芝浦港南地区などは、1棟で800世帯を超えるマンションが何棟もあり、管理組合の総会でも共用部分の省エネ化がよく議題に上っております。集合住宅は、点灯時間が長いエントランスホールや廊下など、共用のスペースが多くあり、その省エネ化が港区全体の省エネ化を進める上で大きな課題となっております。
 区は集合住宅の省エネ化に向け、これまでどのような対策を行ってきたかお伺いいたします。

◯地球温暖化対策担当課長(小板橋美穂君)  区は、区民の多くが集合住宅に居住しているという実態を踏まえ、マンション省エネガイドブックを作成・配布し、集合住宅の大規模改修等に合わせたさまざまな省エネの取り組みを紹介しております。また、集合住宅管理組合に省エネコンサルタントを派遣し、省エネ効果の高い機器の導入についてアドバイスするなど、集合住宅共用部におけるエネルギー使用量の効果的な抑制を支援しております。さらに、高断熱サッシの設置や屋上への高反射率塗料の塗布など、集合住宅の共用部を対象とする省エネ機器の導入経費の一部を助成し、環境負荷の低減を図ることで、地球温暖化対策を推進しております。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。港区はこれまで先進的に、集合住宅の省エネ化について普及啓発や助成を進めてきたことと思います。
 ところで、マンションは大きく分けて2つの部分に区分できます。マンションの区分所有者の専有部分と、管理組合が管理する共用部分です。このうち専有部分については、既に省エネ・節電対策を実施している人も多いのではないかと思います。しかし、共用部分はまだ取り組む余地が多く、より積極的に進める必要があると思います。集合住宅の共有スペースの省エネ化を進めることによって、区の二酸化炭素排出量の削減に寄与することができるのではないかと思っております。東京都はことしの7月から各家庭向けに、白熱電球をLED電球に取りかえるという取り組みを行っていますけれども、これは集合住宅の共用部向けではありません。港区は集合住宅の省エネ化について、これまで先進的に普及啓発や助成を進めてきたことと思いますので、東京都が行っていなくても独自の取り組みを進めることができるのではないかと思います。そこで質問ですが、集合住宅の共用部分のLED化についても助成をしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

◯地球温暖化対策担当課長(小板橋美穂君)  LED照明は、白熱灯と比較し寿命が長く、電気使用量も大幅に削減する効果があることから、点灯時間の長い集合住宅共用部に導入することは、二酸化炭素排出量の削減に大きく寄与することが期待できます。今後、地球温暖化対策を一層推進するため、集合住宅共用部のLED化を対象とする助成につきまして、検討してまいります。

◯委員(土屋 準君)  管理組合にとってもありがたいことだと思いますので、ぜひ検討を進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

◯委員長(杉浦のりお君)  土屋委員の発言は終わりました。

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