土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

令和3年度決算特別委員会-10月04日

○委員(土屋準君) 令和3年度決算特別委員会に当たり、自民党議員団を代表して総括質問をさせていただきます。
 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて当初予算が編成された初めての年度でした。コロナ禍は私たちの生活や経済を一変させ、産業も大きな打撃を受けましたが、コロナ禍後は、全く以前と同じ状態には戻れない新たな段階に入ります。折しも進展しつつあったICT化、オンライン化は、その動きを加速させてきました。新型コロナウイルス感染症との戦いはまだ続いていますが、ワクチン接種も進み、パンデミックも終わりが視野に入ってきたと言われます。
 この間、保健医療関係の従事者の方々をはじめ、新型コロナウイルス感染症拡大の中、社会を支えてこられた方々に深く感謝申し上げ、質問に入らせていただきます。
 初めに、今後の財政運営についてです。
 港区の一般会計の令和3年度決算額は、歳入が1,939億円、歳出が1,811億円となり、いずれも過去最高額となっております。東京都が9月1日に発表した令和3年度の特別決算の概要によると、23区全体で歳入が9.2%、歳出が10.5%、それぞれ減少しており、歳入・歳出ともに減となったのは、平成22年度決算以来11年ぶりのことだそうです。平成22年度といえば、いわゆるリーマンショックと言われる世界的な金融危機に端を発した景気低迷の影響により、港区でも特別区民税収入が大きく減少した年になります。
 そう考えますと、令和2年1月以降、感染が拡大し、今なお収束の見通しが見えない新型コロナウイルス感染症が、我々の暮らしに与えた影響の大きさを感じずにはいられません。このような状況下において、区の決算額が歳入・歳出ともに過去最高となったことは、とても意義のあることではないかと思います。
 区では、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、積極的に補正予算を編成するなど、直面する課題に積極的に取り組んできました。こうしたことは、区民の暮らしを守り、質の高いサービスの提供につながっているものと思います。
 本年2月のロシアのウクライナへの軍事侵攻の影響により、物価高騰が進み、エネルギー価格の高騰や電力需給の逼迫、円安の進行など、区を取り巻く環境はかつてないスピードで変化し、区民生活に影響を及ぼしています。そこで質問ですが、コロナ禍の影響や国際情勢の変化をはじめ、先行きが見えない中、区では今後どのような財政運営を行っていくのか、区長の考えを伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。
 まず、新型コロナウイルス感染症を踏まえた業務継続についてです。
 新型コロナウイルス感染症対策において、行政は区民にとって、とても頼りがいのある存在であると気づかされた数年間でした。新型コロナウイルス・デルタ株が猛威を振るった昨年、ワクチン接種が開始してからは、一人でも多くの希望される方へ接種機会の提供と情報提供に邁進し、オミクロン株の流行へと変わる中、区民以外を含む10万人を超える陽性者の発生届を受理し、自治体としての責務を果たされてきました。その間、職員も感染したり、濃厚接触等の理由で登庁できないケースも多く見受けられました。
 業務に支障が生じた場合には、業務継続計画(BCP)に基づく業務の一部を停止し、緊急時優先業務に人員を集中するなどの対応を取ることになっております。昨年は、デルタ株の流行からオミクロン株へ置き換わっていった第5波から第7波の中、多くの職員の兼務発令がありました。新型インフルエンザ編BCPの改定は10年ほど行われていませんが、その前提となる新型インフルエンザによる職員の欠勤率は40%または50%を想定しており、新型コロナウイルス感染症の感染状況とでは大きく異なっています。
 そこで質問は、これまでを振り返り、港区では新型コロナウイルス感染症を踏まえた業務継続のために、どのような対応を行ってきたかお伺いします。
 次に、新型コロナウイルスワクチン接種についてです。
 昨年5月から開始した新型コロナウイルスワクチン接種は、港区民は1回目・2回目の区民接種率が88%と、全国平均81.5%より高くなったことは、多様な接種機会の提供と情報発信が功を奏したと考えられます。集団接種会場を閉鎖することなく、区民側への接種機会も開放し、エリア全体として感染拡大防止に努めた都心の自治体は、そう多くありません。区を挙げて対応していただき、感謝申し上げます。
 当初、国の判断で、1回目・2回目のワクチン接種終了は今年の2月末でしたが、感染拡大とワクチン追加接種に伴う期間延長が繰り返されてきました。現時点では来年3月まで期間延長がされ、また、4歳以下の接種も間もなく適用拡大されることから、ますます港区なら打てると、丁寧な情報提供と区民の期待が高まると思われます。
 そこで質問ですが、新型コロナウイルス感染症収束に向けた最後の段階となりつつありますが、強力にワクチン接種を進めてきた自治体としての今後の展開をお伺いします。
 次に、地域災害情報システムの構築による情報発信についてお伺いします。
 近年、台風や線状降水帯による自然災害が全国各地で頻発し、甚大な被害が発生しています。先日の9月の連休前半に日本列島を縦断した台風14号は、気象庁から、経験したことのない暴風、高波、高潮、記録的な大雨のおそれがあるとの異例の呼びかけがあり、九州地方や中部地方に浸水被害や崖崩れなど多くの被害を及ぼしました。また、9月の連休後半には台風15号の接近による大雨の影響により、静岡県の各地で土砂災害警戒情報が発表され、浜松市など一部の地域では、河川の氾濫の危険性が高まったことから、緊急安全確保を発令するなど避難情報を発令し、住民に迅速な避難を呼びかけた自治体があります。
 港区でも、台風による水害対策に従事するため、連休に防災課職員が出勤して気象情報を注視し、防災情報メールから情報を発信し、まちづくり部門や各地区総合支所でも、緊急時に対応できるよう情報連絡体制を取ってくださっていたと伺っております。古川や、急傾斜地崩壊危険箇所が118か所ある港区では、台風や大雨接近時に、水害や土砂災害が差し迫っている情報を区民にいち早く届け、区民を安全に避難させることが極めて重要です。
 そこで質問ですが、地域災害情報システムの構築により、今後、水害をはじめとする災害対策にどのように活用し、区民の生命を守るために、どのような情報発信が可能になるのかお伺いします。
 次に、六本木・虎ノ門地区のまちづくりとエリアマネジメントについてお伺いいたします。
 まず、六本木・虎ノ門地区まちづくりガイドライン策定後の取組についてです。
 六本木・虎ノ門地区では、大規模なまちづくりの進展、環状2号線の開通など新たな交通インフラの拡充など、この地区を取り巻く環境が大きく変化していることから、計画的にまちづくりを誘導するため、区は8月に、六本木・虎ノ門地区まちづくりガイドラインを改定しています。改定されたガイドラインを見ますと、まちの魅力や課題、特性を踏まえた、まちの将来像やまちづくりの方針などが定められています。
 例えば、エリアごとにきめ細やかに、地域特性に応じた土地利用を誘導することや、歩行者回廊軸や緑の軸を設定し、誰もが歩きたくなる緑豊かな歩行者空間を創出することが記載されています。また、まちづくりを進めるための協働体制の充実を図るとともに、まちの魅力を高めるエリアマネジメント活動を推進していくことなども記載されています。
 このように、ガイドラインに記載された取組が推進されることで、この地区の魅力を生かしながら、課題を解決するまちづくりにつながるものだと思います。
 ガイドライン策定後、この地区がさらに発展した、よりよいまちづくりを進めていくためには、区の関わりが大切だと考えます。そこで質問ですが、今後、区は、ガイドラインの将来像の実現に向けてどのように取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。
 次に、港区全域におけるさらなるエリアマネジメントの推進についてです。
 六本木・虎ノ門地区では、エリアマネジメント活動を推進していくとのことですが、区内の他の地区でも、開発事業を契機としたエリアマネジメント活動が展開されており、地域の防災やにぎわい創出などの検討・活動が行われています。ちょうど先週末から、アークヒルズ周辺の企業が一体となって、Music Weekという音楽イベントを始めています。アークヒルズのカラヤン広場では、公開空地を使ったパブリックビューイングで辻井伸行さんのピアノコンサートがライブ配信され、多くの方がくつろぎながら音楽を楽しんだと聞きました。
 課題もあると思いますが、この地区に限らず、区内の様々な場所で地域の魅力・価値を向上させ、地域の活性化につながるエリアマネジメント活動が展開されることが大切だと考えます。そこで質問ですが、エリアマネジメント活動が各地区で推進されるためには、区はどのように考えるかお伺いいたします。
 次に、(仮称)文化芸術ホールについてお伺いいたします。
 総務費の審議においても、我が会派の二島委員が取り上げておりましたけれども、改めて(仮称)文化芸術ホールについてお尋ねしたいと思います。
 (仮称)文化芸術ホールについては、平成19年度以降、区民参画組織の意見や要望をいただいた上で、平成21年の港区基本計画において、区民が文化芸術を鑑賞できる機会と、自らが参加する機会を拡充するとともに、音楽、芸術など、区民が気軽に文化芸術を鑑賞、創造、育成、発表できる機会と場を提供することができる、文化芸術の拠点となる施設を整備することになったのが原点であると認識しております。
 その後、東日本大震災発生後の見直しに伴い、(仮称)文化芸術ホールの整備を一旦中止しておりましたが、再度検討を重ね、現在計画されている浜松町二丁目に整備することになりました。こうした大震災という困難の中、区は諦めず、着々と検討を進め、令和9年6月の開館が見えてきたのは、区の文化芸術に対する並々ならぬ思い、意気込みを感じます。こうした思いは、先日、区民文教常任委員会で報告された(仮称)文化芸術ホール管理運営計画(素案)にも、随所に盛り込まれているように思われます。
 この計画の重点的な取組の中で記載されている、年齢、障害の有無、国籍等の異なる多様な人々との協働による作品づくりなど、問題意識を高めるテーマ性や発信性のある取組や文化芸術活動を通じて、地域の課題解決に向けて行動するよう促すことで、より多くの区民の参画と協働による文化芸術の活性化の推進などは、文化芸術が区民の幸せにつながる考え方だと思います。実際、この管理運営計画に盛り込まれていることを全て実現できれば、これまで日本では例のないホールが出来上がるものと期待しております。
 しかしながら、区民がこの管理運営計画に目を通しただけでは、内容が難しく、具体的なイメージができない部分もあるのではないかと思います。区民の方には、(仮称)文化芸術ホールの事業を含む文化芸術が、生活に潤いをもたらし、心豊かな活力ある社会の形成にとって重要な意義を持つものと理解していただくことが重要です。
 (仮称)文化芸術ホールは、今年度から機運醸成事業に取り組み、来年度には指定管理者を選定していくという具体的な準備に入っていくとのことです。そこで質問ですが、(仮称)文化芸術ホールの開館に向けて、または港区の文化芸術のさらなる発展に向けて、今後の取組の進め方や、機運を高めていくため、どのように考えているかお伺いいたします。
 次に、中小企業支援についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加え、エネルギー価格や仕入れ価格などの高騰により、区内中小企業はいまだ厳しい経営状況にあります。こうした中、区では、他に先駆けて開始した新型コロナウイルス特別融資あっせんをはじめ、新型コロナウイルス感染症感染拡大以降、テレワーク支援補助金など、時勢を踏まえた支援策が迅速に実施されています。商店街店舗に対しても、消費を喚起するためのプレミアム付き区内共通商品券の大型発行や、みな得レシートキャンペーンの支援、テークアウトやデリバリーなど新たな業態へのチャレンジ、店舗の感染症対策を進め、客足を取り戻そうとする取組への補助事業も行っています。
 令和4年度も、新たにデジタル・トランスフォーメーション促進支援事業や、インボイス制度への対応支援を開始したほか、今定例会ではさらに、販路拡大・人材確保支援事業、みな得ポイント還元キャンペーンといった施策が、補正予算案として提出されています。こうした迅速かつ多角的な施策を打ち出していることは、我々自民党議員団は評価しております。
 そこで質問ですが、今後も当面続くと思われる感染症や物価高騰の影響に中小企業が打ち勝っていけるよう、引き続き支援を行うべきだと考えますが、どのように考えているかお伺いいたします。
 次に、歴史上の人物を活用した観光の推進についてお伺いいたします。
 来年、令和5年は、NHK大河ドラマで徳川家康を主役とした、どうする家康が放送されるほか、勝海舟が生誕200年を迎えるなど、港区とゆかりのある歴史上の人物にとって節目の年を迎えます。そうした歴史上の人物ゆかりの地は、テレビや雑誌等でも取り上げられ、様々な媒体での露出も増えるものと推測され、こうした歴史上の人物ゆかりの名所旧跡等を訪れる観光客もまた増加するものと想定されます。
 過去にも平成23年には、同じくNHK大河ドラマで、徳川家2代将軍・徳川秀忠の正室、お江を主役とした、江~姫たちの戦国~が放送され、徳川家の霊廟のある増上寺には多くの観光客が訪れました。港区にとっては、このような機会が巡ってくることは大きなチャンスと言えます。
 折しも先月、WHOのテドロス・アダノム事務局長は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関し、終わりが視野に入ってきたと述べました。また、外国為替市場においても、今年に入り、24年ぶりの円安水準となり、今後は外国人観光客の増加によるインバウンド効果も見込まれます。
 そこで質問ですが、このような機会を生かし、歴史上の人物を活用した観光支援策を打ち出して、コロナ禍で落ち込んでいる区内観光を盛り上げるきっかけとできればと思いますが、どのように考えているかお伺いいたします。
 次に、福祉総合窓口についてお伺いいたします。
 区は本年8月1日から、福祉に関するあらゆる相談をワンストップで受け止める相談窓口として、各地区総合支所の区民課に福祉総合窓口を設置しました。これは、近年の区民生活や社会経済情勢の変化によって、区民が抱える多様化・複雑化した問題、ダブルケアやヤングケアラーなど、複合化する問題を重層的に支援する動きに対応した取組です。福祉総合窓口には職員のほか、障害者福祉、高齢者福祉に関する専門職員を配置し、窓口での対応が困難な相談についてはリモートで対応できるようにするなど、万全な相談体制が構築されています。設置に当たっては、2年間の準備期間でハードの改修のほか、業務改善やICTの導入も積極的に進めたと聞いています。
 福祉総合窓口のポイントは、ワンストップでの相談の強化、相談者だけでなく、その世帯全体の支援、専門職によるチーム支援の強化といった点が挙げられます。
 そこで、3点質問いたします。
 まず、世帯全体の支援についてです。福祉総合窓口に来訪した相談者だけではなく、その家族に問題がある場合、世帯全体を支援するとのことですが、具体的にどのような流れで世帯支援を行うのかお伺いいたします。
 また、チーム支援についてです。福祉総合窓口の設置に当たっては、多職種・多機関との連携強化も図られていると聞いています。一人の相談に専門職がチームになって対応してもらえることは、本当に心強いことです。具体的にどのようにチーム支援が行われるのか、お伺いいたします。
 さらに、職員支援システムについてお伺いします。福祉総合窓口では、相談を受け付ける班と、各種手続に関する庶務を担う班の2班体制としています。区は、設置前までに業務マニュアルの整備を進め、相談を受け付ける職員が幅広い分野の相談に対応できるよう、それを支援するシステムを導入したと聞いていますが、その内容についてお伺いいたします。
 福祉総合窓口の設置により、課題を抱える区民が手厚く支援を受けられる体制が整ったと考えられます。しかし、声を上げることができず、家族や周囲の人にも気づかれないために、孤独・孤立し、最悪、犯罪に至ってしまうケースもあります。区は各分野において、孤独・孤立に関する課題に取り組んでいますけれども、総合的な対策を行うには至っておりません。今後、あらゆる世代、いかなる状況にあっても、区民が孤独・孤立に陥ることがないよう、区として総合的な対策を講じる体制の整備をお願いいたします。
 次に、ICTを活用した今後の介護予防事業についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症拡大の際、ワクチン接種の予約ができないなど、コロナ禍により顕在化した高齢者のデジタルディバイドの問題に対して、区は、スマートフォンを持っていない、または利用できない高齢者への具体的な支援として、今年度から使い方教室とセットになったスマートフォンの無料貸出し事業を開始しました。第1期は定員を超える応募があり、受講枠250人に対し9割以上の方が受講し、スマートフォンを利用しており、丁寧なサポートもあって非常に好評だと聞いております。中には、無料貸出し期間の終了を待たずに御自分で購入するケースもあり、10月から申込みが開始される第2期にも期待が膨らみます。
 そこで、スマートフォンなどICTを活用した今後の介護予防事業についてお伺いします。
 過去の調査では、介護予防事業に参加しない理由として、参加する時間がない、が上位に来ています。より多くの高齢者に介護予防事業に取り組んでもらう方法として、これまで区が推進してきた施設における参加型の取組に加えて、高齢者が時間に縛られずに、気軽に介護予防事業に参加できるサービスが求められています。
 そこで質問ですが、今後、スマートフォンを持つ高齢者が増えていくことを考えると、それにはICTの活用が非常に有効と考えますが、今後、どのように介護予防事業にICTを活用していくのか、お伺いいたします。
 次に、介護ロボット等導入支援事業についてお伺いいたします。
 令和3年度決算の民生費を見ると、区では470万円を投じて、地域の高齢者を支える介護職員の負担軽減、業務効率化及び職場環境の改善を図るため、介護ロボットやICT導入の実証実験を区内5つの事業所で、介護ロボット等導入支援事業を実施しました。
 厚生労働省においても、今年度、見守り機器などのテクノロジーの活用や、介護助手の活動などによる介護施設での生産性向上の効果を測定する実証事業を実施します。厚生労働省はこの中で、介護ロボットの活用を一つのテーマに掲げ、施設の課題や状況等に応じた適切な介護ロボットの導入と、それに伴う業務オペレーションの見直しによる効果を実証するとのことです。厚生労働省によるこうした実証事業の結果などは、令和6年度の介護報酬改定の検討に資するエビデンスとなります。
 港区では、こうした国の動きに先駆けて、介護ロボットやICT機器の可能性に着目し、事業を推進しています。本年8月に介護労働安定センターが公表した介護労働実態調査によれば、被保険者の自宅などを訪問するヘルパーの不足感を訴える事業所が8割を超え、介護事業者全体で見た場合でも、6割を超えているとのことです。介護人材不足という課題解決の一助となる可能性を秘めた介護ロボット等の利活用は、区においても支援を進めてもらいたいと思います。
 そこで質問ですが、介護ロボット等の導入について、区の支援を今後一層充実してほしいと考えますが、区ではこれまでの取組でどのような効果を得て、今後どのように推進していくのかお伺いいたします。
 次に、分身ロボットについてお伺いします。
 区は令和3年度から、障害者の新たな働き方の創出として、意欲があってもなかなか就労に結びつかなかった重度障害者の方が、自宅から遠隔操作して就労することができる分身ロボットを活用した実証実験を行っています。分身ロボットを操作する方をパイロットと呼ぶそうですが、区役所本庁舎1階の福祉売店はなみずきでは、重度障害者の方がパイロットとなり、御本人のキャラクターに合わせて眼鏡を装着したり、自宅で分身ロボットを操作する姿や自宅の商品案内をタブレットで映したりと、それぞれの個性を生かしながら元気に接客する声が聞かれました。
 昨年度の実証実験スタート時に1名だったパイロットは、数か月後には2名となり、1日1時間の勤務で、延べ59日間働かれています。芝地区クリーンキャンペーンでは、まちに出て案内業務を行い、地域の方や企業の方とも接することができたとのことで、分身ロボットを知ってもらうよい機会になったのではないかと思います。今年度も福祉売店はなみずきで働く分身ロボットの姿がありましたが、まだまだ可能性は広がっていくのだろうと思います。働く場所、働く時間や業務内容などについて選択肢が増えることで、自分の新たな能力や役割を獲得することも考えられます。
 そこで質問ですが、実証実験の継続中かと思いますが、分身ロボットを活用して得られた効果と今後の方向性をどのように考えているのか、お伺いいたします。
 次に、児童相談所と子ども家庭支援センターとの連携についてお伺いします。
 令和3年度は、港区児童相談所が、子ども家庭支援センター及び母子生活支援施設との複合施設である港区子ども家庭総合支援センター内に開設されました。区長は、複合施設港区子ども家庭総合支援センターとして整備することで、子どもと家庭のあらゆる相談に迅速・丁寧に対応し、妊娠期から子育て期、思春期、そして児童の自立まで、一貫した支援を行っていくと述べられており、港区の新たな児童相談所が、これまでにない児童相談所像をつくり出していってくれるものと期待しております。
 港区児童相談所は、基礎自治体の強みとして、地域との連携を土台に業務を行っていくことを当初からうたっており、地域とともに歩む港区児童相談所として、警察や医療機関、その他の地域の関係機関との連携を進めています。また、ボランティアとの協働も行っています。
 しかし、港区児童相談所の一番の特徴は、子ども家庭支援センターと併設されていることだと思います。港区の児童相談体制は、新たなページを開きました。これまで子ども家庭支援センターを中心に、地域とともに積み上げてきた支援体制を、児童相談所の設置により一層充実させ、区民が一丸となって、社会の宝である子どもを守っていくため、私たちも力を合わせていきたいと思っております。
 そこで質問ですが、児童相談所と子ども家庭支援センターの併設のメリットを生かし、子どもと家庭に寄り添う中で、区としてどのように児童虐待対応に取り組むのか、お伺いいたします。
 次に、給食費についてお伺いいたします。まず、保育園の給食費についてです。
 区は、今定例会において区独自の支援策として、所得制限を設けず港区子育て応援商品券を交付するための補正予算を24億円計上しており、子育て世帯に対し、大変手厚い支援をしております。
 区は、児童1人当たり5万円分を配付する電子商品券の意義を、コロナ禍における行動制限などにより、子どもたちの健康や心の問題、また保護者においても感染症の長期化による不安やストレスが生じる中、誰もが安心して子育てができ、全ての子どもたちの健やかな成長を支えるため、子育て支援の趣旨を踏まえた国の地方創生臨時交付金を活用して実施するとしており、子どものために生活用品、学用品の購入や、子育てサービスなど日頃の子育てに必要なものに活用してもらい、地域で子育てを応援する機運にもつなげたいとしています。交付世帯に対しては、子どものために使うということをしっかりと周知してもらいたいと思います。
 所得に関係なく手厚い支援策をする一方で、区は保育園給食費については保護者から徴収しております。区から保育園給食費の経緯について伺いましたが、児童教育・保育の無償化において、給食費は無償化の対象ではなく、食費については在宅子育て世帯においてもかかる経費であり、全ての子育て家庭の負担の公平性に配慮する必要があるという考え方の下で、保護者が負担すべき費用とする国の考えに基づき、区は保護者から徴収することとしているとのことでした。
 現在、23区中19区は、保育園給食費については無償としており、無償としている多くの区は、無償化後に、国の考えに沿って改めて給食費を徴収するという対応は取らなかったとのことでした。ただし、区は、国の示している減免対象以外にも、独自の減免策として、第2子以降の全員とひとり親世帯、在宅障害児のいる世帯で、一定の所得以下の世帯に対しては、給食費を無料としているとのことで、一律に徴収するのではなく、世帯の状況に合わせた配慮をしているとのことです。
 また、区は、保育園給食費を保護者から徴収している理由として、高齢障害者向けサービスや学童クラブ育成料など、食費の提供に要する経費を区民から負担していただいており、他の行政サービスとの受益者負担の公平性に配慮が必要であるとしており、このことは当然のことであります。
 港区財政レポートによると、保育園にかかる事業コストの92.7%は区民税と一般財源であり、保育施設を利用している保護者に一定程度の負担を求めるのはやむを得ないものと考えます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響など、社会経済状況の変化に伴い、所得や世代に関係なく、手厚く支援すること、施設利用やサービスの給付に対して一定の負担を求めていくことなど、区の事業の中には、これまでの考えを維持していくべきものと、変化に柔軟に対応していくべきものがあるはずで、今後、これらの整理が一層必要なのではないかと考えます。
 そこで質問ですが、保育園の給食費を無償にすることについての考えをお伺いいたします。
 次に、区立小・中学校の給食費についてです。
 本定例会では、我が会派の池田議員が代表質問として、学校給食費の無償化を質問させていただき、一般質問等では小倉議員から、学用品費を含めた義務教育期間中の保護者の負担軽減策として、様々な角度から提案と質問をさせていただきました。
 港区では、子育てするなら港区と、子育てしやすい環境の充実が図られてきました。今後も子育てしやすい環境の充実を図ってもらいたいと思います。報道によりますと、来年度から学校給食費を無償化とすると発表した葛飾区以降、特別区の中でも、学校給食費の無償化に向けた検討をしている区が複数区あるとのことでした。この間も状況は刻々と変化していると思いますが、港区でも、区立小・中学校の給食費の無償化を検討する時期に来ているものと考えております。
 そこで質問ですが、区立小・中学校の学校給食費を無償にすることについて、どのように考えているのか、改めて教育長にお伺いします。
 次に、令和時代の学びについてお伺いいたします。
 国が掲げたGIGAスクール構想など、コロナ禍を経て子どもたちには、令和時代にふさわしい新たな学びを進めていくことが求められています。令和3年1月に中央教育審議会は、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)を取りまとめました。
 それによりますと、社会の在り方が劇的に変わるSociety 5.0時代、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、先行き不透明な予測困難な時代、社会全体のデジタル化、オンライン化、デジタル・トランスフォーメーション加速の必要性といった社会背景により、これからの学校教育を支える基盤的なツールとして、ICTの活用が必要不可欠なものとし、これまでの実践とICT等を最適に組み合わせていくとしています。
 また、今年4月には、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議、教育・人材育成ワーキンググループが最終取りまとめ、Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)を策定しました。それによりますと、急速に進む子どもたちを取り巻くデジタル社会において、デジタル社会の負の側面を最小限にするための知識・理解が必要だが、させない、触れさせない指導の情報モラル教育にとどまっているとの指摘もなされ、コンテンツや教育手法も不足していることが課題、ボトルネックとされています。
 そして、自分たちの意思で自立的にデジタル社会と関わっていくためのデジタル・シティズンシップ教育を充実させるため、カリキュラムの基準の提示や教職員研修の在り方など、教育委員会や学校への支援を実施する。また、次期学習指導要領の改訂の検討においても、デジタル・シティズンシップ教育を各教科等で推進することを重視するとしております。
 さて、港区は、国の掲げるGIGAスクール構想の前倒しにいち早く対応し、区立小・中学校に通う全ての児童・生徒に一人1台のタブレット端末を整備しました。このタブレット端末で、クラウド環境を活用した様々な取組も推進されています。タブレット端末を通して、学習記録から一人一人の定着度を把握し、個々の学習状況に応じた課題を示すなど、きめ細かい教育を行えるほか、家庭での学びや学校とのつなぎ方も変わります。オンラインを活用して宿題を受け取ったり、提出したりできるほか、不登校児童・生徒に向けたオンライン授業も実施でき、学校からの配付物を電子データで配付したり、オンラインのコミュニケーションツールを活用して、保護者等と面談もでき、自宅等からオンラインで保護者会等に参加もできます。そういう意味では、港区は先進的に取り組んでおり、新しい学びの景色が見えてきていると思います。
 そこで質問ですが、これからの子どもたちにふさわしい令和時代の学びを、港区ではどのように進めていくのか、教育長にお伺いします。
 最後に、港区総合教育会議について質問いたします。
 令和27年、教育委員会制度改革が行われ、区長と教育委員会で構成される総合教育会議が設置され、また、それまで別々に存在していた教育委員長と教育長を一本化した新教育長が設置されることとなりました。翌年、初代の新教育長には青木現副区長が任命され、2期目の途中から引き継いだ浦田教育長の任期が今月で終了を迎えるところです。
 総合教育会議の設置により、区長が教育行政に果たす責任や役割が明確になるとともに、区長が公の場で教育政策について議論することが可能になったほか、区長と教育委員会が協働・調整することにより、両者が教育政策の方向性を共有し、一致して執行に当たることが可能になり、地域の民意を代表する区長と教育委員会との連携が強化されるようになりました。
 総合教育会議では、予算や条例提案等に加え、保育や福祉等の区長の権限に関わる事項等について協議し、調整を行うほか、政治的中立性が求められる事項は別ですが、教育委員会のみの権限に属する事項についても、自由な意見交換として協議を行うとのことです。
 そこで質問ですが、総合教育会議でこれまでどのような議論を重ね、その議論を教育の場にどのように活用しているか、教育長にお伺いいたします。
 質問は以上です。よろしくお願いいたします。

○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表しての土屋準委員の総括質問に、順次お答えをいたします。
最初に、今後の財政運営についてのお尋ねです。
新型コロナウイルス感染症の長期化に物価高騰が重なる中、区は今定例会において、かつてない規模となる総額100億円を超える補正予算を編成するとともに、住民税非課税世帯等への給付金の速やかな支給に向けた補正予算を追加提案し、準備を進めるなど、必要な人に必要な支援を迅速に届け、区民の暮らしや区内産業を守る取組を全力で進めております。
今後、コロナ禍における経験を生かし、日々刻々と変化する社会の動きや区民ニーズを的確に捉え、どのような状況にあっても区民生活と区内産業を守り抜き、質の高い行政サービスを提供できるよう、積極的かつ機動的な財政運営を行ってまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねです。
まず、新型コロナウイルス感染症を踏まえた業務継続についてです。
区では、新型コロナウイルス感染症の感染の急拡大を踏まえて、各部門20%の職員が欠勤となった場合でも、区民サービスの停滞を最小限に抑えるとともに、みなと保健所への応援体制を維持できるよう、本年1月に事務事業の点検を行い、感染の拡大時にも業務継続ができるよう備えております。
引き続き、感染の拡大時においても、区民サービスへの影響を最小限に抑え、業務継続ができるよう努めてまいります。
次に、ワクチン接種についてのお尋ねです。
区では、年内の早期にオミクロン株対応ワクチンの接種を完了できるよう、9月20日から4回目接種の対象者に、9月30日から12歳以上の全ての対象者への接種を開始しており、今後、区民の接種が一定程度進んだ段階で、区民以外の方へも対象を広げ、接種をさらに加速してまいります。また、今後、接種が開始される予定の6か月から4歳の乳幼児接種についても、早ければ今月下旬から接種を開始してまいります。
区では、来年3月末までの接種期間中、ワクチン接種に関する情報を区ホームページに加え、ツイッターで毎日積極的に発信するとともに、一人でも多くの方が接種できるよう、接種体制の整備に努めてまいります。
次に、地域災害情報システムの構築による情報発信についてのお尋ねです。
近年、台風や豪雨などによる被害は激甚化しており、避難指示など区民への迅速な情報発信がこれまで以上に重要となっていると考えております。そのため、区では、気象情報や区内の雨量、水位情報を収集し、避難情報の発令判断を可視化して、防災行政無線や防災情報メールなどと自動連携することで、区民に迅速に発信できる新たな地域災害情報システムを構築してまいります。区民に災害のおそれがある場所を特定して公開するなど、区民の生命を守るために必要な情報を迅速かつ的確に発信してまいります。
次に、六本木・虎ノ門地区のまちづくりとエリアマネジメントについてのお尋ねです。
まず、六本木・虎ノ門地区のまちづくりガイドライン策定後の取組についてです。
ガイドラインでは、まちの将来像として、すべての人に優しく、活力と魅力に満ちた、誰もが歩きたくなる緑豊かな国際生活交流都市を掲げております。区はガイドラインの実現に向けて、地形を生かしながら、緑豊かで歩いて楽しい歩行空間や広場などを創出するとともに、季節の移り変わりが実感できる花や緑の育成など、質の高い緑の充実を図れるよう、開発事業者を指導・誘導してまいります。また、本地区のにぎわいを創出するため、地域が一体となったエリアマネジメント活動の実施体制を構築してまいります。
次に、エリアマネジメントのさらなる推進についてのお尋ねです。
これまで区内では、一般社団法人竹芝エリアマネジメントなどのまちづくり団体が、にぎわいを創出するイベントや、住民・企業とともに、まちをきれいにする清掃活動などを実施してきました。区は、こうした取組を区内各地でさらに広げ、地域の魅力・価値の向上を図るために、道路空間の利活用や、公開空地等を使用する上での制約・課題を整理し、具体的な方策を検討するとともに、先進的な取組や支援制度などを積極的に情報提供し、まちづくり団体が地域活動を円滑に実施できるよう努めてまいります。
次に、(仮称)文化芸術ホールの開館に向けた今後の取組や機運醸成についてのお尋ねです。
今年度は、(仮称)文化芸術ホールの基本理念や重点的な取組の理解を深めることを目的としたシンポジウムや、区民参加型のワークショップを開催し、(仮称)文化芸術ホールが文化芸術の鑑賞、参加、創作活動を総合的に推進する文化芸術の中核拠点であることを広く区民に周知いたします。より多くの区民に機運醸成事業に参加していただくことで、全ての区民に愛される施設となるよう、区民の文化芸術への理解を促進し、機運を高めてまいります。
次に、中小企業支援についてのお尋ねです。
区はこれまで、景況調査などにより区内経済の動向を大局的に捉えながら、商店街からの意見や、経営相談の中で寄せられた声を踏まえ、必要な支援をきめ細かく迅速に展開してまいりました。本年12月からは、中小企業の広告宣伝費等の補助制度を新たに開始するとともに、区内商店等における消費喚起事業、みな得ポイント還元キャンペーンを実施いたします。
区内中小企業や商店街店舗が現在の苦境を乗り越えられるよう、今後も事業者の実情を的確に捉え、これまで実施してきた支援策の拡充や、新たな施策の創出に全力で取り組んでまいります。
次に、歴史上の人物を活用した観光の推進についてのお尋ねです。
区はこれまで、区にゆかりのある歴史上の人物・事柄をテーマとしたイベントやまち歩きツアーの実施などにより、区内の歴史的観光資源を活用してまいりました。来年、徳川家康が主役となる大河ドラマが放映されることや、勝海舟が生誕200年を迎えることは、多くの注目や話題を集めるだけではなく、区の歴史的観光資源を国内外にアピールする絶好の機会であると考えております。区はこの好機を逃すことなく、区内の企業・団体や大学などの教育機関、歴史上の人物にゆかりのある他の自治体等とも連携し、魅力ある観光支援策を推進してまいります。
次に、福祉総合窓口についてのお尋ねです。
まず、世帯全体の支援についてです。
福祉総合窓口では、相談の背景や世帯の状況などを丁寧にお聞きし、相談者だけでなく、家族等にも支援が必要であると判断した場合、対象を世帯全体に広げ、支援しております。また、相談内容により保健師等が相談者の自宅を訪問する場合があり、その際に世帯の課題を発見し、世帯支援につなげる場合もあります。世帯が抱える課題の解決に当たっては、相談記録システムに登録している相談者や家族の相談履歴を確認した上で、生活状況の全体把握に努めながら、福祉関係機関等と連携した必要な支援につなげてまいります。
次に、チーム支援についてのお尋ねです。
複数の福祉分野にまたがる総合的で複雑な課題を抱える相談者の支援に当たっては、総合支所が中心となって、港区社会福祉協議会や高齢者相談センター等と、相談内容に応じた福祉関係機関の専門職で構成するチームを編成し、個別に検討会議を開催しております。それぞれの検討会議では、相談者の気持ちや希望する生活環境を第一に尊重し、医療機関と幅広い分野の専門職にも協力を求め、支援方針や役割分担を明確化します。その方針や役割分担の下、区職員や専門職等がそれぞれの強みを生かし、随時情報を共有するとともに、連携を図りながら、相談者に寄り添った丁寧なチーム支援を進めてまいります。
次に、職員支援システムについてのお尋ねです。
福祉総合窓口の職員支援システムは、窓口対応に当たる職員が、区民からのあらゆる分野の相談、福祉相談に対し、迅速に適切な回答や案内ができるよう導入いたしました。本システムは、窓口で相談対応をしている職員の発する言葉をAIが認識して、対応中の相談内容に最適な業務マニュアルを選択し、職員の目の前にある端末にリアルタイムで表示するというものです。職員は画面に表示された業務マニュアルを参照して、相談者をお待たせすることなく、適切に対応することが可能となります。
今後も、相談者に安心して御相談いただける環境整備に取り組んでまいります。
次に、ICTを活用した今後の介護予防事業についてのお尋ねです。
区は、コロナ禍における施設の休館を契機に、高齢者の運動量の減少を防ぐため、オンラインでやり取りできる介護予防運動教室の開催や、フレイル予防に関する動画をユーチューブで配信するなど、ICTを活用した介護予防事業に取り組んでまいりました。さらに、時間を気にせず利用でき、自分に合った目標設定や、利用者同士のコミュニケーションツールとしても使用できるスマートフォンアプリの導入等を検討しております。
今後も、ICTを活用することで、高齢者が自宅で日常生活を送りながら、いつでも気楽に楽しんでフレイル予防や介護予防に取り組めるよう支援してまいります。
次に、介護ロボット等導入支援事業の効果や今後の取組についてのお尋ねです。
令和3年度に区が実施した実証実験では、見守りセンサーによる職員の負担軽減や、ICTの活用による事務作業の簡素化などの効果が確認できました。一方、参加事業者からは、職員が機器の操作に不慣れで、機能を十分に活用できなかったなどの声が寄せられたため、今年度は、事業所の課題解決に最適な機器の選定から操作説明、導入時の運用までを一貫して支援するサポート事業を実施しております。
区は、職員の負担軽減につながる介護ロボット等の活用に向けた支援を充実し、利用者へのきめ細かな介護とサービスの質の向上に取り組んでまいります。
次に、分身ロボットを活用した障害者の就労支援についてのお尋ねです。
本事業では、障害特性により外出が難しい方が自宅から分身ロボットを操作し、声や手振りで接客することを通じて、分身ロボットで働くのに適した仕事内容や勤務時間、必要なサポートなどの情報が蓄積されております。また、就労が難しかった方が生き生きと働ける機会を提供できたことは、大きな効果です。
今後、企業等と連携し、イベントでの案内など新たな仕事に取り組むとともに、ツイッター等を活用して、本事業に参加して働き方を増やしてまいります。さらに、本事業の成果をまとめ、発信することで、分身ロボットを活用した働き方を社会に広め、障害者の新たな就労機会の創出に取り組んでまいります。
次に、児童相談所と子ども家庭支援センターが連携した児童虐待対応についてのお尋ねです。
児童虐待の専門的な対応力を持つ児童相談所と、地域の関係機関との連携力を備えた子ども家庭支援センターが、同じ施設にあることで、全ての虐待案件を迅速に協議し、リスク判断ができ、的確な対応につなげております。常にケースの状況を共有しているため、家族の状況変化に合わせて適切な支援を行える対応の早さも、複合施設ならではの強みです。
今後も、児童相談所と子ども家庭支援センターの連携力を生かし、困難な課題を抱える子どもや家庭に寄り添い、切れ目のない支援に取り組んでまいります。
最後に、保育園の給食費を無償とすることについてのお尋ねです。
区は、保育園の給食費について、令和元年10月の幼児教育・保育の無償化に当たり、在宅子育て世帯の負担との公平性に配慮し、3歳児クラス以上の子どもの給食費は無償化の対象とせず、保護者が負担すべき費用とする国の考え方に基づき、実費を徴収しております。2歳児クラス以下の子どもについては、給食費を保育料に含めて徴収し、保護者が負担しております。
保育園の給食費については、今後、子育て世帯の負担の在り方の中で総合的に検討してまいります。よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。

○教育長(浦田幹男君) ただいまの自民党議員団を代表しての土屋準議員の総括質問に、順次お答えいたします。
最初に、区立小・中学校の給食費を無償とすることについてのお尋ねです。
学校給食の食材費は、学校給食法において保護者負担と定められている中、教育委員会では、区立小・中学校の学校給食費の保護者負担の軽減を目的に、食材購入費の一部公費負担や、就学援助での給食費全額助成、物価高騰に伴う白米の全額公費負担等に加え、学用品などのリユースを充実させ、保護者負担の軽減等も予定してございます。
これまで実施してきた区立小・中学校への様々な支援を改めて検証するとともに、今後、さらに児童・生徒の学びを深め、質の高い教育を提供する観点から、給食費を含めた教育費の保護者負担の在り方について検討してまいります。
次に、令和時代の学びについてのお尋ねです。
現在、各小・中学校ではタブレット端末について、慣れるから使いこなすに段階が移行したことから、教育委員会では、タブレット端末のより効果的な活用により、全ての子どもたちの新たな時代を生き抜くための創造力を育むべく、港区独自の令和の学びの実現を目指しております。
具体的には、モラルをしっかりと身につけた上で、子どもたちにタブレット端末のよりよい活用の仕方を判断させるデジタル・シティズンシップ教育を推進することや、これまで以上にクラウド上で意見交流や情報交換を充実させることで、教員の大胆な授業変革を進めております。
引き続き、教育委員会では、ICTの積極的な活用を通して、新たな時代に求められるデジタル社会に参画する技能や課題解決能力の育成に努めてまいります。
最後に、総合教育会議についてのお尋ねです。
総合教育会議では、地域教育における喫緊の課題やあるべき姿について、区長と十分な意思疎通を図り、民意を反映した教育行政の推進につなげております。一例として、昨年度は、ウィズコロナ時代の子ども・家庭に届く支援というテーマの下、タブレット端末の使用によるトラブルや、コロナ禍における保護者同士、児童・生徒同士のつながりの希薄さについて、区長と教育委員とが意見を交わしました。こうした議論により、教育の場では、実態を踏まえた情報モラルについての授業の実施や、オンライン面談、オンライン相談による子どもや各家庭のつながりの手段を増やすこと、コロナ禍ならではのタブレット端末を活用した柔軟な学びにつながっております。
引き続き、総合教育会議で区長と教育委員とが積極的に意見を交わし、教育現場の具体的な改善につなげてまいります。よろしく御理解のほどお願いいたします。

○委員(土屋準君) ありがとうございます。以上で総括質問を終わります。

○委員長(阿部浩子君) 自民党議員団の総括質問は終わりました。

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